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次 回 展 覧 会

ふげん社 プレスリリース より :


2020/10/8 - 10/25
コミュニケーションギャラリー ふげん社

笠木絵津子 「 私の知らない母 」 大型プリント展 ―林忠彦賞受賞を記念してー
開催のご案内


■開催概要

笠木絵津子「私の知らない母」大型プリント展
―林忠彦賞受賞を記念してー

2020年 10 月 8 日 (木)- 10 月 25 日 (日)
火〜金 12:00 〜 19:00 土・日 12:00 〜 18:00
休廊:月曜日

会場:コミュニケーションギャラリーふげん社
〒153-0064 東京都目黒区下目黒 5-3-12
TEL: 03-6264-3665 MAIL: info@fugensha.jp
https://fugensha.jp

イベント:

・10月11日(日) 14:00 から
笠木絵津子 × 山内正則 氏 (高エネルギー加速器研究機構・機構長)

・10月17日(土) 14:00 から
笠木絵津子 × 加藤聖文 氏 (国文学研究資料館・准教授)

※いずれも 参加費 1000 円(要予約)
ご予約先 TEL: 03-6264-3665 Mail: event@fugensha.jp
※YouTube チャンネル「スタジオビッグバード」にて、投げ銭制のライブ配信あり( URLは後日掲載します)





©Etsuko Kasagi 「 1945 年、満洲国東満省(黒竜江省)石頭東方、 21 歳の母と」


 笠木絵津子は 1952年 兵庫県尼崎市生まれ の現代美術家です。 1977年 奈良女子大学大学院理学研究科物理学専攻修士課程修了 後、 京都大学基礎物理学研究所 を経て、 1980年にフリーカメラマンとなります。 1992年に は ニューヨーク大学大学院芸術研究科スタジオ・アート専攻修士課程修了 しました。

 母・久子( 1924-98 年 )の死後、自分の母親の人生について何も知らなかったことに愕然としたという笠木は、 伯母 の家で出会った古い家族写真にいざなわれるようにして、 戦前の東アジアに生きた 母の軌跡をたどる シリーズの制作を始めます。 母・久子 は、 日本統治時代の朝鮮・鏡城(現北朝鮮)で生まれ、台湾、満州(現中国東北部)を経て、1946年 、日本へ引き揚げ ました 。 笠木は、 母を知る人物へのインタビューや、戦前の満州や台湾の文献調査 を重ねていきました。 最終的に、 母がかつて暮らした場所へ 実際に 赴 いて撮影した際、 彼女の脳内に立ち現れた 現在と過去が入り混じる イマジナリィな光景を表現しようと試みたのが、 古い家族写真、収集した当時の東アジアを捉えた古写真 などをダイナミックに交錯させた デジタル コラージュ作品でした。

 母の死から21年経った 2019 年に 、 本シリーズ の 集大成 であ る 作品集『私の知らない母』(クレオ)を出版し ました。本著は 「 「時間と空間の芸術」といわれる写真の到達点 」として評価され、 2020 年第 29 回林忠彦賞を受賞しました。

 当展では、 「私の知らない母」から オリジナルの大型プリント 10 数点を展示します。 会期中には、 物理学と東アジア史の専門家を招いてのトークショーも開催します。

 娘が肉体的にも精神的にも 一番 関係の深い 母親 の ルーツを辿 ることは、 一見 、 アイデンティティ をめぐる私的な営みに思えますが、本作 は 動乱の歴史を生き抜いた個人 や一家族 が浮き彫りになると同時に、 市井の人々 を翻弄した時代 や歴史 という大きな力をも 実感 させられ ます。そこにあった時間、そこにあった人々が現前する等身大のプリントを通して、時空を超えた一大叙事詩をご高覧ください。


※コロナウィルスの感染予防対策について

当館では会場の衛生管理に細心の注意を払い営業しております。
会場内の換気や、不特定多数が接触する場所(階段の手すり、ドアノブ、スイッチなど)のアルコール消毒をおこないます。
お客様には下記の点をご協力下さいますようお願い申し上げます。

・発熱や風邪症状、体調に不安がある方はご来店をお控えください。
・入口で消毒液での手指消毒をお願いいたします。
・咳エチケットにご協力をお願いいたします。


■本展に関するお問い合わせ先
画像データご入用の際は下記までお問い合わせください。
ふげん社 担当:ディレクター 関根 史
MAIL: info@fugensha.jp TEL: 03-6264-3665





©Etsuko Kasagi 「 1953 年正月、兵庫県尼崎市元浜町 2 の 89 の引揚げ者の寮にて、私を抱く母と、 母を抱く私」


■作家ステートメント

 昨年末に出版した作品集『私の知らない母』が今年の林忠彦賞を受賞した。公式受賞展が新型コロナウィルスの影響で来年に延期されて本展が最初の受賞記念の展覧会となった。オリジナル等身大プリントを 10 数点展示する予定。対談は、物理関係から山内氏、東アジア史関係から加藤氏をお招きする予定。

 「私の知らない母」は1998 年に兵庫県で没した私の母の前半生を古写真と現在写真で綴ったデジタル加工作品シリーズである。 1924 年現在の北朝鮮に生まれ台湾・満洲で暮らし1946 年 9 月に日本に引き揚げた母。私は母の死後に古写真の場所を訪 ね現在写真を撮る旅を始めた。新旧写真は相対論的 4 次元時空に掛かって星の様に輝き私はそれらを圧縮して作品をつくった。即ち、「写真の記録性を利用して、一枚で表現する写真をつくった」。写真は一枚では何も表現できないからである。因みに、これらの作品は「コンセプチャル・アート」に分類されるものである。


■作家プロフィール

笠木絵津子 Etsuko Kasagi
現代美術家 千葉市在住

【学歴等】
1952 兵庫県尼崎市生まれ
1960 父の故郷である兵庫県姫路市に転居
1971 兵庫県立姫路西高等学校卒業
1975 奈良女子大学理学部物理学科卒業
1977 奈良女子大学大学院理学研究科物理学専攻修士課程修了(理学修士)
1977 京都大学基礎物理学研究所文部教官助手となる
1980 京都大学基礎物理学研究所を退職、フリーカメラマンとなる
1984-87 高 エネルギー 物理学研究所(現、高 エネルギー 加速器研究機構)で巨大加速器トリスタンの建設過程を撮影
1992 ニューヨーク大学大学院芸術研究科スタジオ・アート専攻修士課程修了(マスター・オブ・アーツ)
【受賞等】
2003 第 26 回キヤノン写真新世紀、奨励賞受賞
2007 第 10 回岡本太郎現代芸術賞、入選
2007 第 29 回姫路市芸術文化賞、芸術年度賞受賞
2007 第 26 回土門拳賞、「ふたつの時間ふたつの光」が最終選考に残る
2020 第 29 回林忠彦賞、受賞、作品集『私の知らない母』について
【作品収蔵】
高エネルギー加速器研究機構、岐阜県飛騨市神岡町、姫路市立美術館、アート・バイ・ゼロックス、周南市美術博物館、他

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