2008年正月、故郷姫路で父、孝一が亡くなり、3年後に東日本大震災が起きた。父の遺品と格闘する中で報道される、山河を襲う津波や原発事故で故郷を追われる人々の姿は、当時横浜に住んでいた私の意識を故郷の風土へと向かわせた。「地の愛」とは、人間を生みながら人間を殺す自然の厳しい愛のことであり、その愛に応えて生き抜こうとする人間の健気な愛のことである。
「地の愛」は父の一生を作品化するプロジェクトのタイトルとして考えたものだが、父の死以前につくった作品も、故郷や父や風土というキーワードに引っ掛かってくるものは「地の愛」シリーズの中に入れることにする。
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