東京展 撮影:金井真紀、林賞事務局、笠木絵津子
周南展 撮影:林賞事務局
2019年に株式会社クレオから出版されました笠木絵津子作品集『私の知らない母』は、2020年4月に第29回林忠彦賞を受賞しました。しかし、その後の新型コロナウィルス感染症の拡大により、授賞式は中止、受賞展は1年延期となりました。今年2021年春、受賞展の東京展と周南展が開催されましたので、ここにご報告します。
周南展オープニングでの笠木ビデオメッセージ
ビデオ撮影:笠木絵津子
皆様、現代美術家の笠木絵津子でございます。2020年の林忠彦賞を受賞し、大変光栄に思っております。新型コロナの影響で受賞展は一年延期となりましたが、4月に東京展が開催され、そして、今日は周南展のオープニングを迎えることができました。この一年間、私も林賞事務局の皆さんも大変な苦労をしましたが、今日を迎えることができて大変嬉しく思います。千葉の自宅からの録画ではありますが、一言オープニングのご挨拶を述べたいと思います。
私の作品は、皆さん、一見してこれは何、と思われる方が多いと思います、そういう風に私が仕組みました。これは写真を使ったアートなのです。もっと言うと、これは写真を使って私の考えを見せている。この考え方は、今から30年前に私がアメリカのニューヨーク大学大学院で学んだコンセプチャル・アートの考え方です。私の指導教授はこう言いました、人間には目だけでなく脳もある、目だけでなく脳も面白い作品をつくれ、と。
この作品で私は何を見せたかったかと言うと、母の時代と私の時代の断層、です。多分この作品をご覧になる多くの方もこの「時間の断層」に共感されるのではないでしょうか?その断層からご自分の時間に考えを巡らして共感されるのだと思います。
古いアルバムに貼られた家族写真を携えて現在のその場所にたどり着いた時の頭の中の光景、それは一枚の写真では表現しきれないものでした。それは写真によるアートでしか表せなかった。林忠彦賞が写真の賞であるにも関わらず、このような「写真によるアート」作品を顕彰したことに、私は深く感動します。それは林忠彦賞自体がいかに時代の最先端を行く賞であるかを顕彰したとも言えるからです。
では、皆様、どうぞ周南市美術博物館で「私の知らない母」をご覧ください。周南展では、抜粋して5点のオリジナルプリントを展示させていただきました。幅5メートルもの大画面を是非ご堪能ください。
第29回林忠彦賞受賞記念写真展 笠木絵津子「私の知らない母」の記録
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林忠彦賞ホームページ http://hayashi-award.com/
□ 東京展 ~終了~
2021年4月16日→4月22日
富士フイルムフォトサロン
東京都港区赤坂9-7-3 東京ミッドタウン フジフイルム スクエア
〇 初日14:00~笠木が作品で着た母の着物を着るというパフォーマンスを行った
□ 周南展 ~終了~
2021年5月14日→5月23日
~林忠彦の生誕地にある~周南市美術博物館
山口県周南市花畠町10 -16
〇 初日9:30~小規模開会式で、藤井市長挨拶のあと笠木ビデオメッセージ上映
〇 初日16:50~山口放送生番組「熱血テレビ」に笠木出演
〇 周南展では笠木は、蔓延防止措置地域の千葉市在住のため、リモートで参加
□ 東川展 ~来年開催予定~
2022年1月8日(土)→1月30日(日) 10:00~17:00 会期中無休
写真の町 東川町文化ギャラリー
北海道上川郡東川町東町1 -19 -8 TEL(0166)82-4700
※ 今後の状況によってはスケジュール変更等も考えられますので、林賞ホームページで最新の情報をご確認ください。
□ ふげん社展 ~2020年終了~
2020年10月8日→10月25日
コミュニケーションギャラリーふげん社
東京都目黒区下目黒5-3-12
〇 10月11日14:00~笠木絵津子×山内正則 (高エネルギー加速器研究機構・機構長)
〇 10月17日14:00~笠木絵津子×加藤聖文 (国文学研究資料館・准教授)
〇 本来は公式林賞展終了後の10月に予定された「大型プリント展」であったが、コロナ禍によって公式展が延期されたので、ふげん社展が最初に開催されることになった
〇 タイトルは、笠木絵津子「私の知らない母」大型プリント展―林忠彦賞受賞を記念してー
2021年5月26日、笠木書く